差がつくのは教養試験?専門試験?

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教養試験か専門試験か 公務員試験を知る

大卒程度の国家公務員試験や都道府県及び政令指定都市の上級試験においては、教養試験と専門試験の両方が課されるのが一般的です。

そして、国家公務員や配点比率を公表している自治体の受験案内を見るとわかるように、少なくとも1次試験で課される筆記試験(多肢選択式)については、教養試験よりも専門試験の方が配点比率が高い、又は同配分のいずれかの傾向が強いといえます。

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国家一般職では専門1問は教養2問に相当

国家公務員試験においては、別の記事で詳しく説明しておりますが、試験の得点は「素点」(多枝選択式試験の場合は正解数、記述式試験の場合は複数の採点者による評点の合計)ではなく「標準偏差」や受験生の「平均点」などを考慮して算出される「標準点」によって決定されるため、公表されている配点比率は厳密な得点比率とはなりませんが、どの公務員試験も専門試験の配点は教養試験の1.5倍から2.0倍程度になります。

国家一般職では、専門試験の1問は概ね教養試験の2問に相当するということです。これは大きいですよね。

大卒程度国家公務員採用試験 種目別配点

地方上級は自治体によりばらつきはあるが

一方、地方上級はというと、令和元年度の都道府県職員採用試験を例に見てみますと、自治体によってばらつきはありますが、配点を公表している自治体の概ね4割が専門試験重視の傾向となっています。

室長
室長

地方公務員試験でも国家公務員試験のように得点は素点ではなく決まった計算式により算出されているようです。

以下、都道府県職員採用試験の大卒程度行政職区分の試験種目別配点等一覧です。(3つのブロック(北日本、東日本、西日本)に分けて掲載)

令和元年度都道府県上級行政区分の試験種目別配点(北日本)
北日本
令和元年度都道府県上級行政区分の試験種目別配点(東日本)
東日本
令和元年度都道府県上級行政区分の試験種目別配点(西日本)
西日本

専門試験重視が正解?

このように、公務員試験は専門重視の傾向が強いため、当然、専門重視の勉強スタイルで対策を進めなければなりません。

教養試験よりも専門試験の方が配点比率が大きいのだから、当然専門試験対策の方が重要で、教養試験対策はそこそこでいい、と考える受験生が一般的だと思いますが、果たして本当にそうでしょうか。

国の人事院により公表されている「合格点及び平均点等の公表」を見ると、受験生間の得点のバラツキを示す標準偏差は、教養試験よりも専門試験の方が大きいことがわかります。つまり全体で見ると、やはり教養試験よりも専門試験の方が、受験生間で得点差が付きやすい傾向があると考察できます。

ただこれは、あくまで「全体を見た場合」の話です。

公務員試験は、非常に「記念受験生」が多い試験です。ここでの記念受験生とは、「来年受験するために、今年はどんなものか試しに受けてみよう」だとか、「受かればラッキー。タダで受験できるんだし、取りあえず受験してみよう」といった、あまり公務員試験対策をしていない、合格力の低い受験生たちのことを指します。

記念受験生は、そもそも対策をほとんどせずに試験本番に臨んでくることが考えられるので、高校時代までの知識である程度戦える教養試験よりも、そうでない専門試験の方が試験の出来が悪くなることが一般的に考えられます。

したがって、きちんと試験対策してきた受験生と、そうでない受験生の間では当然、教養試験よりも専門試験の方が得点にバラツキが生まれることが推測されます。

合格ボーダーライン付近の受験生の差を決めるのは教養試験

しかし、合格を目指す受験生の方たちにとっての本当の競争相手は、ほとんど対策せずに本試験に乗り込んでくる記念受験生達ではなく、合格ボーダーライン付近に固まっている受験生達です。

そして、試験合格点のボーダーライン付近に固まっている受験者層、つまり「きちんと受験対策をしてきた人たち」は、専門試験ではしっかりと得点してきます。

というのは、専門科目は公務員受験予備校本や市販の試験対策本が教養科目より内容・量ともに充実しているため、教養科目よりも「対策しやすい」上に、専門試験の配点比率が教養試験より高いということは、真面目に勉強している受験生であれば誰でも知っているからです。

つまり、合格レベル付近にいる受験生であれば誰でも、教養試験よりも専門試験対策に力を入れてくると考えられるため、そのレベルでの戦いにおいては、専門試験ではあまり差がつかないのです。

したがって、確かに全体を見れば教養試験よりも専門試験の方が受験生間で差がつきやすいことは事実ですが、ギリギリのラインで結果を左右するのは教養試験です。

高校時代に馴染みのある教養科目とは異なり、専門科目の中には受験生によっては全く学習したことのない科目がいくつも存在するため、専門科目に割く勉強時間の割合は必然的に大きくなります。

しかし、専門試験対策に力を入れるのは当然として、専門重視だからといって教養試験対策を疎かにするのは極めて危険なので、配点比率のことは頭にいれつつも、教養だろうが専門だろうがとにかくしっかり対策することが重要です。

室長
室長

要するに、教養科目も専門科目も「どっちも大切」ってことですね。

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