公務員試験における筆記試験は、多肢選択式だけではありません。
自分で文章を書くことが苦手な受験生を苦しめる、行政職の公務員試験における記述式筆記試験として、教養論文と専門記述があります。
教養論文とは、少子高齢化に伴う人口減少社会、ITやAIの進化、働き方改革、環境問題等社会問題に関すること、また地方財政や地方分権等行政一般に関することなど、時事関連の課題について見解や説明を求められる記述論文試験です。
国税専門官や労働基準監督官を除く、多くの大卒程度公務員行政職採用試験で課されます。
一方、専門記述とは、一般的には行政系科目、法律系科目、経済系科目といった各種専門科目ごとの複数の課題から、1題(東京都では3題)を選択して論述するという形式の記述試験を言います。
国税専門官や裁判所事務官などの国家公務員試験で出題されるほか、自治体では東京都や特別区の出題が有名です。
どちらも各官公庁によって1次試験で課されることもあれば2次試験で課されることもある試験種目ですが、国家一般職のように論文の配点が低い試験もあれば、東京都のように多肢選択式よりも記述論文の配点が高い公務員試験もあり、その対策に頭を悩ませる受験生は少なくありません。
何より、記述論文試験でも基準点等(足きりライン)は設けられているため、いくら多肢選択式筆記試験の点数が良くても、記述論文で足きりラインを超えなければ問答無用で不合格になります。
いずれにせよ、最終合格するためには、最低でも合格者平均レベルの答案は書けるように、受験する公務員試験に応じて十分に対策することが必要です。
記述論文は、受験生間の得点差が大きい科目です。しかしその差は、文章作成能力の差というよりも、「いかに準備、対策をしたか」の差です。
単に文章作成能力が長けているだけでは、公務員試験の記述論文で合格点を取ることはできません。
逆に、文章を作成することが不得意だと自覚している受験生も、きちんと対策することで、記述論文により他の受験生に差をつけることも可能です。
多肢選択式の対策で忙しい受験生が大半だと思われますが、決して記述論文対策をないがしろにしてはいけません。
限られた時間内に与えられた課題に対して適切な論文を書くという作業は、普段論理的な文章を書く習慣の無い方にはなかなかハードルが高い作業だと思います。
それゆえに、記述論文対策のためだけに予備校に通う受験生もいるほど、多くの受験生は論文に苦手意識を持っているようですが、独学であっても十分対策が可能な科目ですので、他の受験生に差をつけられないように、余裕を持ってしっかりと準備しましょう。