学んだことは少し間をあけ 1か月以内に復習する

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脳科学 公務員試験入門

公務員試験最短合格10の心得の一つでもある「繰り返し学習する」ことの重要性は、「使う参考書・問題集は絞るべし!」で詳しく説明したとおりですが、無計画にただひたすら復習すればいいというものではありません。

何より、限られた時間で勉強しないといけない科目がたくさんあるわけですから、1科目あたりの復習回数にも限界があります。限界が在るわけですから、効率的な復習を試みないと、反復学習の効果を最大限に引き出すことはできません。

そこで、復習はいつやればいいのか、どのタイミングで復習すると記憶という点から効率的なのかを、私の好きな脳科学的観点から説明したいと思います。

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忘却曲線によると、記憶してから1時間後には半分以上忘れる!?

時間の経過と忘却との関係をグラフで表した、心理学者へルマン・エビングハウスによる「忘却曲線」は非常に有名ですが、人間は、時間の経過とともに脳に記憶した情報を忘れていく生き物です。

忘却曲線によると、人間は物事を初めて記憶してから1時間後には一気に半分以上を忘れ1日たつと70%以上もの記憶を忘れてしまうそうです。受験生の学習意欲を殺ぐような恐怖の事実です。

一方、それ以後は残った記憶が比較的長持ちするようで、1週間後、1か月後だと概ね2割ぐらいの記憶は残っているようです。人は物事を覚えた直後がもっとも忘れやすく、その後は少しずつ記憶が減っていくということですね。

記憶は“寝る”ことで増強される!?

ただ、これが事実だとすると、勉強してはすぐに見直し、勉強してはすぐに見直しを繰り返しつつ学習を進めないといけないので、なかなか勉強が進みません。

時間はかかるわストレスは溜まるわでやってられませんよね。よって、確かに学習したらできるだけ間隔を空けず復習することは大切ですが、そこまで詰めて復習する必要はありません。

というのは、脳科学の研究によると、立て続けに脳に同じ情報を送り続けるよりも、ある程度の間隔をあけて、脳がその情報を忘れかけた頃に再度その情報を脳に送った方が、記憶の定着が良くなると言われているからです。

忘れかけた頃に「あぁ、そういえばこうだったな」と思い出す瞬間というものは、ある種の感動を覚えるものですよね。感情を伴った学習は、記憶力が増強されるといいます。

また、記憶というものは人が寝ている間に整理されるようなので、学習時にはいまいち理解できなかったことでも、一晩寝てから復習すると目が覚めたように理解できることがあります。

それに、人は記憶してから1日たつと70%以上忘却すると書きましたが、実はその70%の記憶も、完全に脳内から消え去っているわけではないのです。

単に「思い出せなくなっている」だけで、別記事でも記述したとおり、脳の中の海馬(かいば)という器官で、「1か月間」は潜在的に記憶が保持され続けるのです。

1か月あけずに反復学習すると効果的!?

逆に言えば、海馬に中期記憶が留まっている期間はどんなに長くても1か月間なので、1か月以上間隔を空けて復習しても、それは海馬にとって初めて学習したことと同じになってしまいます。

つまり、記憶を脳に長く定着させるには、人間の潜在的な記憶の最長保存期間である1か月の間に、同じ情報を脳(海馬)に何度も繰り返し送り続ければいいのです。

そうすれば、「たった1か月の間にこんなに何度も送られてくる情報なのだから、きっと重要な情報だ」と脳の海馬に判断され、脳に長期記憶として保存されるのです。

間隔を1か月以上空けずに、脳が記憶を忘れそうになったら情報を送り、また忘れそうになったら情報を送る、ということを繰り返すのです。復習するたびに忘却の度合いは小さくなってゆくので、徐々に復習間隔を広げてゆくことが可能となります。

こういった人間の記憶のメカニズムから考えれば、「学習した翌日に1回目、その1週間後に2回目、2回目の復習から2週間後に3回目、3回目の復習から1か月後に4回目」といったように、脳に記憶を整理する時間を与えつつも、学習初期は1か月開けずになるべく短い間隔で復習し、少しずつ間隔を広げながら反復学習するのが最も効率的だといわれています。

長期記憶となりさえすれば、1か月以上復習間隔を開けても忘れることはありませんし、それ以上復習したところで成果はあまり変わりません。

エビングハウスの忘却曲線は信用できるか?

さて、ここまでの話の流れだと「絶対に1か月以上復習間隔を空けてはいけない」という強迫観念めいたものすら感じている読者の方もいらっしゃるかと思いますが、はっきり申し上げて、学習すべき科目数がやたらと多い公務員試験勉強においては、半年だとか1年間というスケジュールで、全ての科目についてこのような復習プランを採用することは、時間的に極めて困難です。

「じゃあどうすればいいの?」というところですが、そもそもエビングハウスが忘却曲線を導く際に使ったサンプル課題というのは、「意味の無い字並び」を暗記するというものであって、記憶の取っ掛かりのない覚えにくい課題でした。

よって、基本的に記憶対象が意味のある語句であったり相互関連性のある論点であったりする「受験勉強」においては、エビングハウスの忘却曲線は直接あてはまらないかと思われます。

何より、問題集を用いた「レジュメを読んで問題演習」という学習方法によって、随時「レジュメの内容を問題で復習」しながら行う公務員試験勉強においては、忘却の度合いはエビングハウスの忘却曲線よりもずっとゆるやかな曲線を描くはずです。

したがって、学習計画を立てる際は、必ずしも「1か月以内の復習」に固執する必要はありません。

室長
室長

やたらと脳科学的な観点から説明した割にはあっさりした結論ですみませんエビングハウスのくだりはほとんど不要だったのではないか若干反省しております。

ただ、少なくとも各科目の「学習初期段階」においては、1日に勉強する科目を何科目も詰め過ぎないようにして、可能な限り1か月という間隔を空けずに反復学習することを心掛けてください。

公務員試験勉強においては、「ある程度期間を空け」つつも、「学習初期は1か月以内に復習する」といった勉強方法が、記憶の定着という観点から非常に効率的な学習法であるということを、戦略を練る段階で強く意識しておきましょう。

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