官庁訪問という名の採用選考

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官庁訪問 人物試験対策

このページでは、公務員試験受験者が最も情報不足に陥りやすいであろう、国家公務員試験における得体の知れない採用システム?である“官庁訪問”について、当サイトなりに噛み砕いて説明いたします。

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国家公務員試験における官庁訪問の概要と目的

人事院が実施する国家一般職採用試験は、1次試験で筆記(多肢選択式・論文)、2次試験で面接が行われ、それらの結果を総合して最終合格者が決定されるという仕組みです。

ところが、他の記事でも何度か触れてきたとおり、国家総合職・国家一般職の場合、最終合格=採用ではありません。

最終合格とは、受験者が国家公務員の採用候補者名簿に掲載されるということであり、それは各官庁の「採用面接を受ける資格」を与えられたに過ぎないのです。

そして、各官庁による「採用面接」は、すべての受験者に対して実施されるものではありません。人事院から合格通知が送られてきてから、何の行動も起こさず指を咥えて待ち続けた場合、気付いた頃には採用試験は終了しています。

副室長
副室長

国家一般職の場合だと、採用者数は最終合格者数の約4割程度です。

受験者は、人事院による採用試験の合格が判明したらただちに行動を起こし、志望官庁が開催する業務説明会や志望官庁の庁舎に直接足を運ぶことで、採用面接を実施してもらうよう、自発的に各官庁に対してアプローチしなければなりません。このアプローチが、「官庁訪問」です。

受験者による志望官庁の絞り込みや情報収集活動が第一義ではなく、行きたい官庁を自分で選んで訪問し、志望官庁に採用してもらえるよう自分をPRする機会であり、それそのものが「就職試験」なのです。

受験者は官庁訪問のプロセスで官庁の人事担当者から評価され、採用したいと判定されれば「内々定」が出されます。

国家一般職の場合、正式に内々定が出されるのは最終合格発表日の午前9時以降とされているので、官庁訪問とはつまり、第1次試験合格者を対象に実施される、最終合格を条件とした内々定者の絞り込み作業なのです。

副室長
副室長

まとめると、

人事院第1次・第2次試験を実施し、最終合格者を決定。成績順に採用候補者名簿に掲載

各府省庁官庁訪問・採用面接を通じて内々定者を決定

これら2つが満たされて初めて、受験者は各府省庁に「採用(内定)」されるということです。

官庁訪問は毎年各府省庁が共通ルールを決める

国は例年2月頃、「各省庁人事担当課長会議申合せ」という各省庁の採用活動に関するルール(取り決め)を作成し、公表しています。(人事院が運営するウェブサイト国家公務員試験採用情報NAVIの採用情報ページに掲載されます。)

当該年度の採用選考の基本方針のほか、官庁訪問や内々定解禁の日程等が主な内容ですが、要は、各府省庁は採用選考活動にあたって「受験者にいろいろと配慮しろよ」ということと、「府省庁間で抜け駆けすんなよ」ということを念押しする内容になっています。

各官庁が独自ルールで採用活動を行うなど、勝手なことをすると、特定の機関に優秀な人材が偏ってしまうリスクがあります。抜け駆けせずに、公平に人材獲得競争をしましょう、という約束事を府省庁間で事前に決めているわけですね。

受験者も内々定を得ようと必死ですが、各官庁も優秀な人材を獲得するのに必死なのです。

官庁訪問の流れ(スケジュール)

国家総合職と国家一般職では、官庁訪問の実施方法に違いがあります。概要については、国家公務員試験採用情報NAVIの採用情報に関する下記リンク先のページに直近の最新情報がそれぞれ掲載されているので、まずはご確認ください。

国家総合職についての詳細はここでは省略しますが、特徴的なのは、「クール制」が取られており、厳格なルールのもと官庁訪問が実施される点です。

特定の省庁に良い人材が偏り過ぎないようにするための配慮だと思いますが、国家一般職に比べると複雑なので、国家総合職を志望する受験者はしっかりとシステムを理解しておく必要があります。(以下、基本的には国家一般職における官庁訪問について記事を進めます。)

一方、国家一般職は、国家総合職のようなクール制ではなく、アポさえ取れれば何か所でも官庁訪問が実施できるという、自由度の高い、悪く言えば雑なシステムになっています。

何より、国家一般職の官庁訪問が国家総合職に比べて雑だと感じる一番のポイントは、その日程(スケジュール)にあります。

国家総合職の場合は、最終合格発表後に官庁訪問が解禁(スタート)されるのに対し、国家一般職では、第1次試験合格発表後に解禁(スタート)されます。

国家一般職受験者が注意すべきはこの点で、

第1次試験合格官庁訪問解禁第2次試験(人事院面接)受験官庁訪問再開最終合格発表採用面接・内々定解禁(官庁訪問は継続可)

という流れになるため、官庁訪問で良い感触を得たとしても、最終合格できなかった場合、官庁訪問が無駄骨になる恐れがあるのです。

官庁訪問は早めの勝負(スピード)が命ですから、最終合格発表を待ってから動いたのでは明らかに遅いので、内々定の可能性を高めたいのであれば、第1次試験合格発表直後から官庁訪問を開始する必要があります。

このように、人事院が実施する採用試験と、各府省庁が実施する官庁訪問は「別のプロセス」であるため、採用試験で成績が良かったからと言って官庁訪問に有利に働くことはないし、その逆の、官庁訪問で良い感触を得たからと言って採用試験に有利に働くこともない、ということを、受験者は理解した上で立ち回る必要があります。

官庁訪問のゴールは志望官庁から内々定を得ること

官庁訪問は、受験者が志望官庁を一度訪問して終了するというようなものではなく、同日に複数の官庁(中央府省庁や地方出先機関)を訪問したり、日を分けて何度も同じ官庁を訪問したりするのが通例です。

1対1の面接に限らず、受験者が集団で参加する業務説明会や人事担当者との座談会など、各官庁によって官庁訪問における採用選考の進め方は様々です。

説明会や質問会の終了後に、その場で次回の説明会や面談の案内がされることもあれば、解散後に特定の受験者に電話連絡で次回の面接の呼びかけが行われるなど、複数回のステップを踏んで受験者が絞り込まれるのが一般的です。

受験者と省庁関係者との会話のやりとりなどを通じて、受験者と志望官庁との間でマッチングが行われ、その結果、受験者が官庁から「採用したい」と判断されたときに、「内々定」のお声をいただくことになるのです。

見込みが薄い場合は、面接終了後などに直接不採用であることを告げられることもあれば、何の連絡も来ない場合もあり、その場合は早めにこちらから見切りをつけて、次の官庁訪問にシフトするという判断も必要になります。

3回も4回も面接を受けたのに結果的に不採用とされることもあれば、説明会への参加を除けば1回しか面接されていないのに内々定が出されることもあります。

また、内々定解禁日以降に官庁から「採用面接」に呼ばれることもあれば、解禁日までに内々定がほのめかされて、解禁日以降に形式的な採用面接が行われるケースや、そもそも採用面接を実施しない官庁も存在するなど、態様は各官庁によって様々です。

一度経験すればわかりますが、受験者にとっての国家総合職・一般職試験における最も高いハードルは、筆記試験でも人事院面接でもなく、この官庁訪問です。

民間企業の就職活動経験者はそれほど抵抗がないかもしれませんが、行動力と精神力が要求される官庁訪問は、筆記試験勉強のみガリガリやってきた受験者にとって、長く厳しい戦いになる可能性が高いプロセスと言えるでしょう。

官庁訪問は緊張感を持ちつつ楽しむこと

以上に述べてきたとおり、官庁訪問は、7月~9月という夏真っ盛りのクソ暑い時期に慣れない場所で赤の他人とスマイルキープでガチンコ真剣勝負を続けるわけですから、体力面でも精神面でも強靭さが求められる、非常にハードなイベントです。

特に1次試験の結果がいまひとつの受験者にとっては、2次試験に不安を抱えたまま官庁訪問を進めることになるので、精神的にかなりストレスがかかると思います。

とは言え、この段階ではネガティブ思考は捨てて、自分は必ず最終合格するんだという気迫を持って、積極的に官庁訪問に臨む姿勢が大切です。

官庁訪問では各官庁の人事担当者から面接を受ける機会も多く、その実戦経験は第2次試験の人事院面接に生かすことができます。

また、もし結果的に国家公務員試験に不合格だったとしても、別日程で実施される地方公務員上級試験等の人物試験において、官庁訪問で得た経験や反省、ノウハウを生かすことができます。

そういう意味で、国家一般職における官庁訪問は決して「完全なムダ」にはなりません

官庁訪問は国家公務員試験における最終関門であり、攻略は容易でなく、当然気を引き締めて取り組むべきではありますが、受験者の皆さんは「むしろ楽しんでやる」くらいのポジティブシンキングで官庁訪問に臨みましょう。

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