このページでは、面接試験に臨むにあたっての超基本事項でありながら、大変重要な「正しい身だしなみ」について解説いたします。
身だしなみを整えることの重要性
公務員試験に限らず、就職活動をスタートするにあたって「身だしなみ」を整えることは常識であり、最も重要な要素のひとつです。
「ありのままの自分を見ていただきたい!」というピュアな想いで、金髪・ヒゲボーボー・ピアス&金のネックレス・タンクトップ・短パン・サンダルのスタイルで採用面接に突撃した場合、現場は修羅場と化すでしょう。
こういった入室3秒で面接評定票にE判定が刻まれるケースは極端ですが、面接試験では、「見た目」が評価に大きく影響します。
就職面接のセミナーや接客研修、自己啓発本などで見聞きする用語で、「メラビアンの法則」というものがあります。
話し手が聞き手に与える影響のうち、「言語情報(話している内容)」が7%、「聴覚情報(話し方、声のトーンなど)」が38%、「視覚情報(表情や立ち居振る舞い、見た目など)」が55%で構成されているという、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの研究結果に対する解釈のことを指します。
厳密には、一般的なコミュニケーション全般に適用される法則ではないようですが、どんなに素晴らしいトークを繰り広げても、身だしなみがだらしなかったり姿勢が悪かったりすると、相手の受ける印象は半減してしまうという事実をあらわしています。
この種の見解は、メラビアンに限らず多くの心理学者・専門家によって実証されている事実であり、面接カードにも共通することですが、人の印象は見た目が占める割合が非常に大きく、特に第一印象は基本的に視覚情報からスタートします。
我々は幼少のころから先人に「人を見た目で判断してはいけないよ」と教えられてきました。しかし現実的には、ほとんどの人間は、まずは他人を見た目で判断してしまいます。
面接官は、受験者を最初に見たそのとき、その人の持つ常識、品性、熱意、魅力といったものを無意識的に計ろうとするのです。
プライベートの場であれば、法に触れない範囲でどのような格好をしようと自由です。しかし、公務員は民間企業よりも規律の面で世間から厳しい目で見られる職です。少しラフな格好をしているだけなのに、「だらしない」とか「華美だ」とか難癖をつけられることもあります。
そのような公務員を採用しようとする選考試験の場においては、当然、社会人としての最低限のマナーを備えているかどうかが評価対象となります。
これはあくまで面接試験の話なので、筆記試験(1次選考)は私服でOKですよ。夏場は会場に冷房が入っているので、女性はカーディガンを持参するなど、温度調節できる服装がおススメです。
面接試験における適切な服装・身だしなみは
ということで、面接試験に挑む際には、「見た目」に注意することは超基本的事項であるとともに、超重要事項でもあります。面倒くさがらずに、しっかりと準備しなければなりません。
見た目と言っても、顔の作りや体形を短期間で修正することは困難です。志望動機を練ることもよりもハードルが高いので、「見た目」というより、「身だしなみ」を整えることに力を注ぎます。
適切な身だしなみについて、男女別にポイントを見ていきます。
男性
①髪の毛
色は黒一択です。長さは短髪が基本で、長髪は論外。ワックスはつけても構いませんが、自然なスタイリングにしましょう。寝ぐせはNGです。清潔感を出すことを意識してください。
②顔
ヒゲは絶対に剃ること。ヒゲを残しておくメリットはありません。
③ワイシャツ
色は白。無地が無難です。ワイシャツの袖口は、スーツの袖よりも1~1.5センチほど出るのが理想。また、袖口のボタンはしっかりと留めましょう。
④ネクタイ
変に目をひく柄や模様でなければ色は自由です。シンプルなもので構いません。
⑤スーツ
黒のリクルートスーツがベスト。面接官に見た目で印象付けたいならネイビーやダークグレーでも可ですが、ルックスに自信がない場合は避けてください。サイズが合ってないとかなり印象に響くので、サイズがピッタリのものを選びましょう。ボタンは、三つボタンなら真ん中のみ、二つボタンなら上だけ留めること。
⑥靴・靴下
靴下はデザイン性の無い黒の無地が基本。ワンポイントも不要。白は論外です。靴は黒の革靴にして、きちんと磨いて艶を出しておきましょう。つま先が尖っているなどの個性的なものは避けた方が無難です。社会人にとって、靴が与える印象は実はかなり大きいです。
⑦カバン
できれば靴と同じ色の革製のものが無難です。ナイロンや合皮でも可ですが、社会人らしいデザインのもので、かつ、手を離しても自立するものにしましょう。これは、面接中に足元に立てておくためで、トートバッグや肩掛けはあまり印象が良くありません。リュックサックも避けてください。
女性
①髪の毛
黒髪が基本ですが、ダークブラウンでも問題ありません。現職公務員でも黒髪の女性よりも染めている女性の方が多いのが現状で、面接官もあまり抵抗を持っていません。とは言っても、明るすぎる髪の毛は悪目立ちするので、落ち着いた暗めの色に留めましょう。髪が長い場合は後ろでまとめるなど、爽やかなイメージを心掛けてください。
②顔
女性の場合はメイクをされると思いますが、濃いメイクはNGです。ナチュラルメイクを心掛けて、チークや口紅の色は主張しすぎない程度にしましょう。
③ブラウス
白一択です。シワをなくして清潔感を意識してください。
④ジャケット
色は黒やネイビー、グレーが一般的ですが、黒が最も無難です。シンプルで清潔感のあるデザインのものにしましょう。ボタンは必ず留めてください。自分の体に合った形・サイズを選ぶことが重要です。
⑤スカート・パンツ
当然、ジャケットと色をあわせてください。スカートかパンツかで迷う受験者が多いようですが、公務員試験の場合はどちらでも構いません。自分を魅力的に見せるボトムを選んでください。スカートの場合は膝の真ん中から少しだけ上に来るくらいが最も綺麗に見えると言われています。
⑥ストッキング
スカート、パンツに関わらず、肌の色に近い無地のベージュが原則です。タイツや装飾入りのタイプはスーツに合わないため避けるべきです。伝線していないかどうかもチェックが必要です。素足は男性面接官をビビらせるのでやめておきましょう。
⑦靴
黒のシンプルなパンプスで、5cm以下のヒールがベターです。ピンヒールは男性面接官をビビらせるのでやめておきましょう。
⑧カバン
男性と同じく、シンプルな自立型のビジネスバッグが基本です。柄やブランドロゴが大きく入ったもの、トートバッグやリュックは避けましょう。
大切なのは清潔感とバランス
公務員試験の面接に臨む際の正しい身だしなみは以上のとおりです。
男性も女性も、アクセサリーは不要です。爪もきちんと切ること。肩にフケがのっている受験者が必ずいますが、案外目立つ上に印象が悪いので注意してください。
面接試験では「清潔感とバランス」を意識するのが身だしなみの基本で、公務員試験の場合は自分を魅力的に見せるスタイルでありながら、誠実な部分をアピールするよう心掛けて面接に臨みましょう。
ちなみに、国家一般職や地方上級の2次試験は官公庁のクールビズ(COOL BIZ)励行期間に実施されます。受験案内に「クールビズでお越しください」という趣旨の一文があるのが一般的で、その場合は迷わずクールビズスタイルで試験に臨んで問題ありません。真夏のクソ暑い時期に上下スーツはあまりに酷ですよね。