科目概要
この3科目については、国家一般職の専門試験では出題されません。
国税専門官の試験ではこの3科目のうち商法が出題されますが、わずか2問です。公務員試験での2問は大きいのは確かですが、国税専門官は商法以外でバッチリ得点すれば十分合格できます。
また、地方公務員上級では、一部の自治体を除いて商法は1問たりとも出ません。
以上の点からまず言えるのが、とりあえず商法は捨てろということです。国家一般職・地方上級レベルの公務員試験を受験する上で、商法の対策は不要です。国税専門官のみを志望している、あるいは国税専門官の志望順位が圧倒的1番人気だとかいう受験生のみ商法選択を検討してください。それ以外の受験生は、商法を勉強する暇があれば他の科目を強化してください。
次に刑法及び労働法については、全国型をはじめとする地方上級試験において2~3問程度出ます。したがって、時間があれば対策すべきと言いたいところですが、刑法と労働法を両方勉強するのはやはり抵抗があるかと思われます。そこで、妥協案ということでどちらか一方を勉強する、というのであれば、労働法をオススメします。
地方上級に出る刑法は、代表的な判例や基本的な知識しか問われませんので、他の主要法律科目に比べれば覚える量はずっと少なく、過去問集を1冊一通り学習すれば本試験で確実に1点は取れます。
ですが、労働法は、刑法よりももっと用語がとっつき易く、かつ刑法よりも暗記要素が強い科目です。さらに、たまにですが、教養試験の社会科学分野で1問程度労働に関する問題が出たりします。
つまり労働法の方が刑法よりも時間帯効果が良い、もっと簡単に言えば「お得」ということですね。過去問集等では刑法も労働法もほぼ同じ厚さですが、内容は確実に労働法の方が簡単です。スー過去潰そうものならほぼ確実に本試験で労働法科目を全問正解できますので、地方公務員上級を第一志望にするのであれば、労働法は勉強すべきです。
まとめると、国家一般職・地上上級を中心に考える受験生は、商法は捨てて、労働法はやる。よほど時間に余裕が無い限り刑法は原則捨てて、時間に余裕があれば、薄めの過去問集をさらっと通る。国税専門官が第一志望の受験生は、商法を選択して、刑法及び労働法は時間と相談する、といったところですね。
いずれにしろ、これら3科目はあくまで周辺科目です。状況に応じて取捨選択を判断しましょう。
お勧め参考書
国家一般職・地方上級レベルにおいて、既に述べたように商法についてはそもそも捨てるという前提なのでお勧め参考書はありません。万一学習する場合も、過去問演習のみで足ります。
地方上級第一志望者で労働法を学習する受験生についても、勉強する上で参考書→過去問というプロセスを踏む必要はなく、いきなり過去問演習でOKです。
労働法よりも理解を要する刑法については、伊藤真の刑法入門(日本評論社)などで導入した方がむしろスムーズに理解できるかもしれません。伊藤真先生の法律入門シリーズはどれも非常にわかりやすく、導入本として最適。
レジュメ付き過去問集を軽く立ち読みして「いけそう」と思うのであれば、いきなり過去問集でいきましょう。
学習法
商法 …国税が第一志望で無い場合は捨てる
まず、よほどのことが無い限り捨てる商法ですが、国税志望者等でどうしても商法を学習したい受験生は、『だから「カコモン」で克服!』商法を使いましょう。ただその場合も、2問中1問を取りに行くといった程度に考えて、頻出分野である会社法に焦点を置いて学習するなど、必要最小限の対策に留めます。商法に時間をかけることはできません。
労働法 …少し勉強すれば得点できるおいしい科目
次に、本サイトがプッシュする労働法については、既に述べたようにいきなり過去問演習でいきましょう。レジュメを読んでから問題を読み、「回答はこれじゃないかな?」と軽く考えた後に回答を見れば、それで十分頭に入るレベルです。正直、レジュメをきちんと読めば、初見の過去問であっても案外いきなり正答を導けます。
労働法への勉強についてもあまり時間をかけることはできません。1周目からマーカーやペンを使って問題集に直接書き込んで、手を動かしながら勉強しましょう。2周目以降も問題を解くというより問題集を「読んで」暗記です。問題集を教科書代わりに使ってください。
使う過去問集としては、刑法を捨てるのであればhttps://amzn.to/3V0yBj0ぐらいはやってもいいように思います。「スー過去」労働法はそれなりにボリュームがありますが、その分1周するだけでかなりの演習量を確保できます。
レジュメも非常に優れており、2周目以降は重複問題を飛ばして問題を読む又は解いていくなど学習の効率化を図ることも可能ですので、労働法を満点狙いなら「スー過去」はお勧めです。実際、1つのテーマで似たような問題が結構あるスー過去労働法は、2周すれば満点を狙える力が付きます。
なお、「スー過去」よりも少しボリュームを落としたいのであれば、TAC出版のだから「カコモン」で克服!労働法を使いましょう。演習量は「スー過去」にやや劣りますが、これでも十分戦えます。
刑法 …余裕があれば選択
余裕が無ければ原則捨てるべきであろう刑法ですが、公務員試験刑法は基礎的な問題が中心です。対策すれば確実に点が取れますので、やる覚悟のある人は効率的な学習により最低限の労力で刑法を攻略しましょう。
学習法としては、講義調参考書を一気に通読することで刑法への興味を促進し、読み終えたら間髪入れず過去問集へ突入するというのがベスト。行政法や民法と似た学習法です。
使う参考書は上で紹介した「伊藤真の刑法入門」です。一気に通読しないとダメです。2日程度で読み終えるぐらいの意気込みは欲しいところです。
次に、使う過去問集ですが、「カコモン」刑法を使います。それなりにボリュームがありますが、使いやすく、スー過去よりも負担が少なく済みます。
何らかの事情でもし労働法を敢えて勉強せず刑法を選択するのであれば、刑法入門→スー過去で学習すれば地方上級試験レベルでの刑法については完璧に近いでしょう。いずれにせよ、ケースバイケースでおすす め参考書・過去問集を使い分けてください。
国家一般職・地方上級なら商法は捨て、労働法は選択、刑法は要相談