面接試験で高評価を得るためのコツ

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面接官が受験者のどういうポイントを重視し、何をどのような方法で評価しようとしているかをおおむね把握することができたら、次は面接本番で高評価を得るための具体的な準備について考えましょう。

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高評価を勝ち取るには自己PRと志望動機を練ること

「面接試験で評価されるポイントとは」の記事では、ファーストコンタクトタイムにおいてチェックされる「態度」や「マナー」は非常に重要で、面接評価に大きく影響すると説明いたしました。

しかし、容貌やそこから滲み出てくる雰囲気みたいなものは人それぞれですが、ほとんどのまともな受験者は、服装やマナーについてはきちんと準備してくるわけです。

そうすると、「見た目」の評価でそれほど差がつかない受験者達の中で、他の受験者に差をつける、つまり採用の決定打となるのは、面接官と受験者のやりとりの「内容」です。

そして、面接試験において必ずといっていいほど質問される項目であり、その内容が採用に直接影響する可能性が最も大きいとされる重要項目が、自己PR志望動機です。

面接試験では、面接官から様々な質問が投げかけられますが、結局は、「組織にとって必要な人材か」「志望度は高いか(志望順位1位か)」を明確に知るために視点を変えただけの、同じ目的に基づいた質問ばかりなのです。

したがって、「私はこういう理由で組織に貢献できる人材だ」(自己PR)「なぜこの官庁・自治体を志望するのか」(志望動機)の2つをしっかりおさえておけば、ほとんどの場合、どのような質問にも対処できるわけで、本番でそれをきちんとアピールすることができれば、他の受験者に差をつけることができるということです。

自己PRをするためには、自己分析が不可欠です。自分を知らずして自分をうまくPRすることは容易ではありません。

また、志望動機を確立するためには、自己分析に加えて、志望する官公庁の研究が必要です。志望する官公庁が求めている人材特性を掴めば、自己PRの方向性を決めることもできます。

副室長
副室長

「彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」。兵法の天才、かの孫子が残した有名な一句です。彼(面接官・志望先)が何を求めているのかを研究し、己(受験者自身)がいったいどのような人間であるのかを分析すれば、面接試験は百戦百勝ということです。

まとめますと、面接で成功するために最も重要な「準備」は、「面接官がどういう意識、考え方を持って受験者をチェック・評価するのか」を知った上で①「面接官に対して自分を上手くアピールできる部分はどこで、どのようにアピールすべきなのか」を突き詰めるとともに、②「志望官公庁が、どういった人材を必要としているのか」を研究することです。

では、①と②の2点について、それぞれ「自己PR」と「志望動機」という観点から説明したいと思います。

自己PRとは何なのか

面接試験における受験者の評価項目として最も代表的なものに、「自己PR」があります。ここでの自己PRとは、「私の名前は○○です。趣味は××で、得意なことは△△です。」といったような単なる自己紹介ではなく、志望する官公庁に「自分を売り込む」行為を指します。

具体的には、「私はこういう性格で、こういう能力を持っている。そしてそれは私が採用志望している官庁(自治体)の目的と性質に合っており、自分が採用されることで当該組織の活性化につながり、ひいては国民(都道府県民・市民)に貢献することができる」ということをアピールする行為です。

そしてこのことは、職員の採用を検討する上で面接官が最も知りたいこと、聞きたいことなのです。

面接官からの質問に対して応対する態度・内容のすべてが自己PRになっていることが理想です。自分の良い部分を売り込み、悪い部分も良いイメージにすり替えて売り込むのです。

そして、自分自身をPRした結果、面接官に「当職に必要な人材である」と判断されれば、採用を決定的にする高い評価を得ることができます。

自己PRの内容は、受験者の考え方や人間性をはかる上で非常に重要視されます。受験者間であまり差がつかないとされる志望動機よりも、重要な評価項目といえるでしょう。

自己PRには自己分析が必須

面接官を納得させる自己PRを実現するには、自分自身を「熟知」している必要があります。自分の長所や短所が把握できていれば、長所はより優れた点としてアピールできるし、短所は克服できるものとして説明することが可能となるからです。

また、自分の特徴をすぐに言葉で表現できるレベルで準備しておけば、少なくとも自分に関係する質問には自信を持って回答できるはずで、心にゆとりをもって試験に臨むことができます。

「自分を熟知とかいわれても、自分のことなんだから知っていて当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、自分に対して自分が持っているイメージというものは、果たして本当に「客観的な」イメージでしょうか。「思い込み」の部分は無いでしょうか。

副室長
副室長

常日頃から自分を客観視できている人もいるかもしれませんが、他人から見た自分と自分から見た自分とは、イメージが若干なりとも乖離している場合があります。

「○○さんって、◇◇なところがあるよね。」と言われて、「えー、そうかぁ?たまにそういう風に言われることもあるけど、自分ではあんまり自覚ないなぁ」とかいう会話、経験ないですか?

面接本番で「自分はこういう人です。」と主張しても、面接官に「そういう風には見えないね。思い込みじゃない?」と思われてしまっては、つらいですよね。自分を客観視できていない、と判断されると、評価はガクッと下がります。

説得力ある自己PRを実現するためにも、自己分析を入念に行い、「自分はどういった人間か」をしっかりと整理しておきましょう。

自己分析の方法

自己分析の方法はいろいろあると思いますが、まずは自分が思う自分の長所や短所、また自分の特徴や印象に残っている経験などを、ノートやパソコンを使って書き出せるだけ書き出してみましょう

この行為により、ぼんやりと持っていた自分のイメージが、はっきりと目に見える形で確認できるようになります。

また、家族や友人、学校の先生など周りの人に聞いて、「自分はどんな人間に映っているか」を教えてもらいましょう。「客観的な自分のイメージ」を確認するのです。

そして、確認した自分の長所や短所、その他の特徴などについて、面接試験で使えそうなポイントをピックアップするとともに、自分の長所が生きた経験や自分の短所をカバー・克服するため努力した取り組みについて考えるなど、掘り下げていきましょう。

面接カードの作り方の記事でも触れましたが、自己分析の際は、「アピールポイントを絞る」ことと「エピソードに絡める」ことを特に意識して取り組むようにしてください。

人それぞれ、必ず何らかのアピールポイントは存在すると思います。中にはアピールポイントがたくさんある優秀で万能な方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう人であってもアピールポイントは絞った方が説得力が増します。

副室長
副室長

何でもかんでもアピールすると、「ホントに?完璧超人じゃないか」などと信憑性を疑われる危険性がありますし、単なる自慢話になると面接官から「なんか鼻につくな」などとマイナスイメージを持たれる危険性があります。面接官も、人間ですから。

また、現在の公務員試験における面接では、コンピテンシー面接というものが一般的となっているため、自分の実際の体験(エピソード)に基づく自己PRというものが非常に重要です。

そして、具体的エピソードに基づく自分の特性が、志望官庁が求める人材の特性とマッチしていることをPRできれば良いのです。

コンピテンシー面接とは

コンピテンシー(英: competency)とは、主に企業などにおける人材活用に用いられる手法で、「高業績者の行動特性」などと訳されます。

具体的には、「ある業務や役割において、優秀な成果や成績を残す人に共通する行動特性」という意味があります。つまり、該当の業務において成果を出している職員には、共通する特徴的な能力(=行動特性)が備わっているということです。

この行動特性の有無を受験者に対して判断するために生まれたのが、「コンピテンシー面接」です。

コンピテンシー面接の特徴としては、従来の面接で重視されていた「受験者の第一印象や質疑応答時の態度」よりも、「受験者の具体的な過去の行動」という、客観的な要素を重視して判断する点が挙げられます。

コンピテンシー面接では、受験者の過去の行動・経験を深掘りする質疑応答を通して、採用側の官公庁で成果を出している人材の行動や考え方を基準にする「コンピテンシーモデル」と照合します。

そして、面接官ごとの評価のブレを少なくし、官公庁が求めるスキルや能力とのミスマッチを防ぐことが狙いです。

なお、ここでは「面接試験で自己PRすること」を目的として自己分析の必要性を説いていますが、自己分析の究極的な目的は、「自分のライフプランを設計すること」にあります。

だから、「自己分析なんてめんどくせぇ」といった気持ちで取り組むのではなく、「明るい未来を築くために、今、改めて自分を見つめなおそう!」といった前向きな姿勢で楽しく自己分析に取り組みましょう。

志望動機とは何なのか

志望動機は、受験者の熱意を確認するために聞かれます。「本当にこの官庁(自治体)が第一志望なのか。採用内定を出したら、間違いなく来てくれるのか。」という「本気度」を探っているわけです。

内定を出したのに来てくれなかったら、官庁(自治体)の採用計画が狂います。いくら優秀な人材でも、来てくれる可能性が極めて低い人に内定を出すわけにはいきませんから、面接官も必死にそのあたりを確認しにきます。

ということで、面接官を納得させることができるような説得力ある志望動機を練る必要があるわけですが、そのためには、「実際に志望官公庁において公務員がどのような仕事をしているか」を知る必要があります。

それを知らないでは、真実味のある志望動機を語ることは困難だし、適当に捻り出した志望動機はどうしても薄っぺらい中身のないものになってしまいます。

副室長
副室長

勘違いや思い込みの情報で武装したまま面接に臨むと、面接官からキツい突っ込みをされ、撃沈する危険性が高まります。

ところで、そもそも「公務員という安定した職業が魅力的だから」だとか「休暇が取りやすいから」などの志望動機である場合は、官庁・自治体研究などせずとも志望動機としては自分の中では確立されているわけですよね。

これらが公務員の志望動機として正しいかどうかについての議論はここでは省略しますが(参考:人物試験対策はいつから始めるべきか)、本音と建前というものは、社会人として当然使い分ける必要があるわけです。

それを使い分けることのできる能力というのも、組織、社会でうまくやっていく上での必要能力なのです。

面接試験でバカ正直に「民間に比べて楽そうだからです!」などと発言したところで、面接官が「コイツは正直なヤツだ」とプラス評価してくれる可能性は極めて低いでしょう。「本音と建前も使い分けることのできない未熟者だな。こんなのを採用すると、折衝や交渉でも失敗するんだろうな」と切り捨てられるのが関の山です。

だから、建前でもいいので、面接官にある程度納得してもらえる志望動機を考えなければいけません。そこで、志望官公庁の業務内容を知る必要性が出てくるわけです。

副室長
副室長

もちろん、自分の性格や能力などを考えて、「仕事に対する自分の適正を考慮する」上でも、官庁・自治体研究は必須です。

人生の大半を過ごすことになるであろう職場を選ぶわけですから、志望先の研究の理由としては、むしろこちらの理由の方が重要ですね。

とはいっても、受験者が集めることのできる官庁・自治体の情報の源は限られているため、実際にはどうしてもありきたりで似たり寄ったりの志望動機が多くなってしまいます。

したがって、志望動機についても、自分の経験したエピソードに絡めて伝えるなど、リアリティとオリジナリティを持たせるよう工夫する必要があります。

面接官はあまり受験者の志望動機には期待していないようですが、だからこそ、面接官に「お?」と思わせるような志望動機を伝えることができれば、他の受験者に大きな差を付けることができます。

思い込みや勘違いを排除し、自分自身が納得のいく志望動機を確立するためにも、しっかりと志望先について調べましょう。

官庁・自治体研究の方法

志望する官庁・自治体に関する情報収集源として主なものを、4つ挙げたいと思います。わざわざ紹介するほどのものでもないかもしれませんが、せっかくなので、順に説明してゆきます。

①パンフレット

まずは、志望官公庁に関するパンフレットです。職員募集案内や職務内容に関するパンフレットは、各府省庁・自治体が主催する採用説明会等で無料で入手できますが、現在では各官公庁のウェブサイトで自由に閲覧又はダウンロードできるので、是非活用しましょう。

ただ、パンフレットは誰でも手軽に入手できる反面、内容が表層的で各官公庁の良い部分しか掲載されていない傾向が強いため、参考度としてはいまひとつです。業務内容を外観するのには使えますが、他の受験者に差をつける志望動機の根拠に使う資料としては、少し弱いかもしれません。

②書籍

次に、市販の書籍です。公務員試験情報と併せて各種公務員の仕事に関する情報が掲載されているような受験者用ガイドブックもあれば、現役公務員や新聞記者等による公務員の業務内容や実態に関する書籍があります。

市販されている受験者用のガイドブックは、府省庁や自治体の詳しい業務内容を把握するのには適していませんが、おおまかな業務内容や政策等は把握できるでしょう。ただ、受験者用ガイドブックも上記パンフレットと同様に、公務員の悪い部分はあまり載っていません。

受験者は、公務員という職業の良い部分・魅力的な部分はもちろん知るべきですが、一方で腐った部分とかキッツイ部分も同時に知るべきだと思います。

そういう意味で、現役公務員や元公務員等が生々しく実態を語っている本を読んだ方が、志望官公庁の仕事に関する実情を知る上では参考になると思います。

副室長
副室長

本サイトで紹介している面接対策本は、いずれも現役公務員が書いたものですから、その点でもおすすめできます。

他にも、公務員という職の闇の部分にフォーカスをあてた書籍がありますが、読み終えた後に公務員に対する希望がへし折れるリスクがありますので、自己責任でお願いします。

Amazon等で「行政・官公庁」や「公務員・官僚」のカテゴリーで検索をかけると、その手の本がたくさん見つけることができると思うので、良さそうなのを探してみましょう。

③インターネット

3つめは、インターネット。今や最も手軽に情報収集できる、受験者にとっての必須ツールです。スマートフォンでちょこちょこっとググればいくらでも公務員の実態に関するブログやら記事やらが検索にひっかかりますし、現役公務員が活発に議論を交わす掲示板も存在します。

まさに情報の宝庫ですね。しかし、その膨大な情報量ゆえに、質が良く信憑性の高い情報もあれば、ライバルを蹴落とさんとする悪意に満ちたガセネタも蔓延しているので、ネットの情報を鵜呑みにせず、情報を取捨選択する冷静な判断力が要求されます

④現役公務員

最後に、現役公務員です。公務員の仕事を知る一番の方法は、「現職に直接話を聞くこと」です。職員に直接質問する機会が得られればなお良いでしょう。

通常、どの行政機関も採用説明会を開催するので、その際に現役公務員から話を聞くことができます。ただ、採用説明会では、あまり職員の本音や公務員に関する厳しめの実情を聞くことができません。

何故なら、採用側からすると、そういった場において、受験者にネガティブなイメージを持たれるのはできるだけ避けたいからです。

官公庁側も、優秀な人材を獲得しようと必死です。できるだけ多くの人に志望してもらいたいので、「残業が多い」とか「仕事がつらい」など、マイナス情報は敢えて出さない傾向にあります。

副室長
副室長

私見ですが、実際に採用されてから「思ってたのと違った」などとショックを受けてしまうリスクを防ぐためにも、受験者には真実を知らせるべきだと思います。

さらに、公務員には守秘義務があるので、民間人である受験者に対して、職務の詳細に関する踏み込んだ内容を話しにくいという事情もあります。

したがって、「公務員の本当のところ」をぶっちゃけて聞きたいのであれば、OB・OGを頼るなど、知人や身内に聞くのが一番オススメです。

志望官公庁に大学の先輩や知人がいる場合は迷わずアプローチすべきだし、志望官公庁でなくても近い職種の公務員に知人がいる場合は、思い切って面会をお願いしてみましょう。

現役公務員と直接会話することで、疑問点が解消されたり、志望度が明確になることが期待できるうえに、面接本番で使えるエピソード作りにもなります

なお、現役公務員に知人がいない場合は、志望する官公庁の人事部局に直接連絡して、職場ガイドを依頼することをぜひ検討してください。

また、インターンシップ( 職場実習。数日間から1か月程度まで期間は様々。)を受け入れている官公庁もあるので、志望先にそういう制度がある場合は是非参加を検討してください。

インターンシップでは実習生に責任が伴う業務は任せにくいので、経験できる業務は単純作業になってしまいがちですが、職場の雰囲気を直に体験できることに加え、現職公務員からいろいろ話を聞くことができ、場合によってはつながりを作ることができるなど、参加することの大きなメリットがあります。

職場ガイドやインターンシップ等の制度がない場合であっても、繁忙期でなければ職員に個別対応してもらえる可能性が高いので、積極的にアプローチして現役公務員と意見交換する機会を得ることができれば、受験者が一斉に集まる採用説明会よりも、内容の濃い情報の収集が期待できます。他の受験者に差をつけるチャンスです。

他にも、予備校から情報を仕入れたり、受験友達と積極的に情報交換するなど、あらゆる方面から自分にとって有用な情報を集める努力が必要です。そのプロセスで、自然と自分なりの志望動機が固まってくるでしょう。

以上、面接試験で高評価を得るための事前準備について、自己PRと志望動機という2点に着目し、自己分析と官公庁研究の重要性をくどくどと解説いたしました。

これらの対策をしっかりと行えば、面接本番の想定問答は自然と出来てくるので、面倒くさがらずに真剣に取り組んでください 。

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