
当サイトは国家公務員一般職、地方公務員上級レベルの公務員試験の行政職(事務職)を目指している受験者を対象にしたサイトとなっておりますが、受験者の中には、大学の理系学部出身の方で、事務系か技術系どちらを受けようか迷っている方もいるかと思います。
ちなみに、ボクも理系学部出身でありながら、現在は県庁の行政職として働いています。
ということで、既に今年受験を控えている受験者には今さらな話題になりますが、「公務員試験の事務職か技術職、どちらを受験すべきか」について、議論したいと思います。

フーム。私としては、このお題自体ちょっと腑に落ちないなぁ。
「公務員になって何がしたいのか」が固まっている人からすれば、そもそも「事務系か技術系か」で迷うことなんてないのでは。
少なくとも国家一般、地方上級レベルで言えば、事務職と技術職で仕事内容は明らかに異なるわけでしょ?
迷うってことは、自分が受けようとしている公務員試験種の職務内容がよく解ってないからだと思うんだけど。
公務員の各職種の業務内容をきちんと自分で調べて、「こういう仕事をしたいからこっちを受験するんだ」と決めるだけじゃないの?
「どちらを受験すべきか」ではなく「どちらを受験したいか」だよ。

いや、だから、この議題はあくまで「現在迷っている受験者」を対象にしているんですよ。(わかってんだろがめんどくせーな)
「これをしたいから公務員になるんだ」という確固たる志望動機がある受験者からすれば、確かに「何を迷う必要があるんだ」と不思議に思うかもしれないけど、「とにかく公務員になりたい」という動機から始まる受験者も実際に少なからずいる訳です。
社会に求められている公務員像は前者の受験者だとは思いますが、そういう受験者ばかりではないのが実情です。
ファーバー主事みたいな受験者の方がむしろ多いと思いますよ。

そんな言い方されるとまるでボクが「取り敢えず公務員になりたい」って志望動機で公務員になったように思われるじゃないですか。まぁ概ねその通りですけど。
いや、公務員の職務内容をよく調べていないから迷うというのも確かにありますが、理系出身者であれば、迷う理由は他にもあります。
「職務内容や各職種の実情を調べて、ある程度知識を得た結果、公務員の事務職で働きたい。しかし、理系出身者が果たして事務職の試験に受かるだろうか。合格可能性を考えた場合、技術職の方が安全ではないだろうか。」
とにかく「公務員」になりたいという志望動機から始まった受験者であれば、なおさらこういった迷いというか、葛藤に苦しむと思います。
何より公務員試験は就職試験であり、人生がかかっている訳ですから、試験に落ちるという恐怖は大変なものです。

要するに、ファーバーもそういう葛藤に苦しんだわけだ。
国民・市民としては困るんだよねぇ。もっと民のために熱意もって公務員になっていただかないと。

熱意ありますよ今は!
ボクの場合は、公務員を目指すことを決意した当時は、「理系なんだから技術系だろ」と安直に考えていましたが、公務員についていろいろ調べていく中で、技術系か事務系どちらの職種で受験しようか迷い始めました。
職務内容はもちろんですけど、特にボクの第一志望だった地方公務員上級においては、事務職と技術職では昇給や給与等の待遇面で差異が存在することを知ったので。

地方公務員の幹部職には事務系職員の占める割合が明らかに多いんだよね。
事務職と技術職の待遇格差は地方公務員に限らないよ。事実、国家公務員においても、事務次官や局長クラスには技官よりも事務官の方が圧倒的に多い。
職務性質の違いや組織体制など様々な要因はあるんだろうけど、単純に公務員は技術系職員よりも事務系職員の人数が明らかに多いからね。
事務系職員よりも技術系職員の方が多い国土交通省のような省庁は別として。

地方公務員なんかは特に、技術系職員が配属される部署が、土木や農林といったように種類が限られています。
一方で事務系職員はほぼ全ての部署に配属可能性がある訳です。
要するに、単純に技術系の部署のポスト(マネジメントをする職位)が少ないんです。ポストが少ない分、上が詰まっていると下は昇進できません。
そこでポストが多い事務職員と昇進に差が出てしまうんです。自然、昇給にも差は出ますよね。

事務系はあらゆる部署に異動がある分、幅広い業種を経験することになり、全体を見渡す能力を培われる(という見られ方をする)から、必然的に事務系職員が幹部職に就くケースが多くなるという見方もできるね。
大局的に行政を見渡せる事務職幹部が実際にどれぐらいいるかは疑問だけれども。

日本の科学技術を根元で支える技術職員が待遇面で事務職員に落ちるというのは本来あってはならないよ。
今日び、社会に求められているのはゼネラリストよりもスペシャリストだよ。技術立国だよ技術立国。

受験者のときは、「公務員として社会の役に立ちたい」という漠然とした理想も確かにありましたが、やはり就職する上で「生活するために働く」という観点は絶対に無視できませんでしたので、志望動機にこういった打算が絡んだのは事実です。
まぁ、ボクが最終的に事務系を受験することを決めたのは、「公務員になってから」を考えた結果です。
地方公務員として様々な経験を重ねて、スペシャリストよりもゼネラリストととして地域に貢献したいという考えに至った訳ですね。
大学で学ぶ中で、自分の専攻学科に対する興味が薄れていたというのも理由の一つですが。

ファーバーは好奇心旺盛かつ飽き性だしね。
それに、私から見たファーバーは、理系じゃなくて文系だよ。顔が。

顔が文系っていうのはまぁ意味不明なんですけど、少なくとも、「本当は事務系にしたいけど、理系から事務系を受験するのは勉強が大変そうだしやめよう」などという消極的な理由で技術職を志望しようとしているなら、絶対考え直すべきだと思います。
技術職はそんなに甘くありませんし、何より、公務員になって実際に働いてから後悔する恐れが大きいです。実際にボクの職場にそういう職員がいます。
もちろん「合格できる可能性」を考えて、受かりやすい方を受けるというのも解ります。人生がかかっている訳ですからね。

っていうか、大学で理系学部に在籍していたからと言って、じゃあ文系学部に在籍していた受験者に比べて公務員試験勉強において不利かというと、実はそうでもないんだよね。
確かに法学部生は法律科目、政治・経済学部なら行政科目や経済科目にある程度アドバンテージがあるのは事実だけど、理系出身者は一般知能科目の数的処理や一般知識の各理系科目で大きなアドバンテージがあるのも事実だから。
ファーバー主事みたいに理系出身のくせに数的処理が苦手だったという例外もあるけど。

いやいや、理系出身だから数的処理が得意なんてのは誤った固定観念ですよ。関係ないですよマジで。特に判断推理とか。
あんなのいかに頭の回転速いかじゃないですか。いや、実際は演習量がものをいうんですけどね。

・・・あの、そろそろまとめてくれる?

地方公務員になって、実際に事務系の職員と技術系の職員が混在する職場で両方の業務を目の当たりにして、やっぱり事務系を選んでよかったと、ボクは思っています。
理由は様々ですが、技術系か事務系かで迷っているようなら、事務系を受けることをお勧めします。
試験勉強でも、専門科目は新鮮で案外面白いもんですよ(余裕があるうちは)。

まぁ結局は、最初に室長が言った「どちらを受験すべきか」ではなく、「どちらを受験したいか(どのような仕事をしたいか)」に尽きると思います。
社会人生活は長いです。合格して公務員になってからが本番です。
後で後悔しないよう、しっかりと自分の志望する試験種について情報を集め、自分にとって何がベストなのか、とことん悩んでから決めましょう。

本日はここまで。お疲れっした。
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