公務員試験における人物試験とは

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人物試験に臨む 人物試験入門
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はじめに

令和の現在、公務員採用選考に関する人物試験対策本は数多く存在し、多くの受験者に高く評価されている本は内容も充実しており、素晴らしいものばかりです。

また、インターネットでも市販の書籍に負けないクオリティとボリュームを持つ攻略サイトが増えてきており、公務員を目指す方々にとって、筆記試験のみならず人物試験もひと昔前に比べて非常に対策しやすくなったと言えるでしょう。

国家一般職と地方上級の筆記試験対策をメインに扱う当サイトにおいて、既に世間でノウハウがほぼ確立されている人物試験対策のコンテンツが必要あるのかなぁと、サイト管理人の私自身は更新が大変なのでページ作成を少々躊躇したのが正直なところです。

しかし、本サイトは、国家一般職・地方上級を主とする大卒程度公務員採用試験に最終合格するための方法論を、受験者の方々に指南するという、随分と偉そうなコンセプトを掲げています。

したがって、やはり第1次選考の筆記試験のみならず、第2次選考以降で実施される人物試験の対策についても当然触れるべきだと、とある官公庁の人事・採用経験者である本サイト監修者のひとりが特にうるさいので、人物試験対策のコンテンツをご用意いたしました。

皆さん肩の力を抜いて、どうぞ試験勉強の合間の気分転換のつもりで、気軽に読んでいただけると幸いです。

副室長
副室長

公務員試験は単なる資格試験ではなく、生涯の職を決める就職活動です。ミスマッチを防ぐためにも、人物試験とはどういうものなのか、しっかり知っていただきたいと思います。

バリエーション豊富な公務員採用試験の‟人物試験”

一般的に公務員試験の第2次試験以降で実施される人物試験には、大きく分けて面接試験(個別面接・集団面接)集団討論(グループディスカッション)があります。地方公務員の受験案内においてこれらをまとめて口述試験と称する自治体も多いようです。

また国家公務員試験では、第2次試験で行われる人事院面接とは別に、個別面接、集団面接、集団討論何でもありの、官庁訪問という事実上の採用面接が存在します。

さらに近年では、国家公務員総合職の官庁訪問や地方公務員上級の人物試験の場で、特定のテーマについて面接官の前でプレゼンさせられるというプレゼンテーションという面倒臭そうな人物評価方法が実施されることもあります。

このように、ひと昔前とは異なり、現在はバリエーションに富んだ評価方法で人物試験が実施されるわけですが、本章においては、現在の公務員試験における人物試験の実態や対策の心構えについて、ざっくり解説したいと思います。

また、次章以降で人物試験の攻略法を紹介いたしますが、官庁訪問にしろプレゼンテーションにしろ基本的には個別面接や集団討論の延長なので、当サイトでは特に面接試験と集団討論にスポットを当て、その攻略ポイントを指南したいと思います。

人物評価重視の傾向

戦後日本は高度経済成長を遂げ、国民の生活水準が向上するとともに、住民の日常生活や経済活動の範囲が大きく広がりました。

それに伴う価値観の多様化やライフスタイルの変化、また国際化の進展や環境問題への関心の高まり、少子高齢化等により、住民の行政需要は次第に複雑・多様化し、また高度化・専門化しています。

そして、マスコミによる公務員の不祥事・厚待遇の報道が続き、国民市民による公務員を見る目がいっそう厳しさを増す中、もはや親方日の丸の時代は遠い昔の話となり、今や「公務員は究極のサービス業だ」と言われるようになりました。

従来の公務員採用試験に見られる筆記試験重視による画一的な職員採用方法では、複雑多様化した現代社会のニーズに柔軟に対応できる人材を確保することは困難な時代が到来したのです。

加えて、今は国も地方も深刻な財政難に陥っており、人件費削減を目的として新規採用者数を抑える一方で、職員の質を高める必要性に駆られています。業務量は減らないのに職員数の増加を抑えないといけないという厳しい状況の中、国も地方もより優秀な人材の獲得に必死なのです。

さて、能書きの長さに強いストレスを覚えたビジターも多々いらっしゃるかと存じますが、要するに何が言いたいかというと、近年の公務員採用試験は人物評価重視の傾向にあるということです。

いくら筆記試験をクリアする能力が高くても、組織の秩序を乱すような危険因子(協調性に欠ける方)や、見つめ合うと素直におしゃべりできないような恥ずかしがり屋さん(対人交渉が苦手な方)、金は欲しいが働きたくねぇといったダメ人間(勤労意欲が乏しい方)は、なかなか公務員として採用してもらえない時代が到来したのです。まぁ、当たり前ですよね

地方自治体における人物試験の現状

人物評価重視の動きは特に地方自治体で顕著です。

都道府県上級配点一覧
政令指定都市上級配点一覧

国家公務員総合職・一般職等(旧国家公務員Ⅰ種・Ⅱ種)では、以前から官庁訪問という事実上の採用面接制度により綿密に採用者を選考するスタイルが存在したわけですが、ひと昔前の地方公務員試験では、1次試験の筆記さえ突破すればよほど問題のある人物でない限り2次試験の面接で落ちることはなく、最終合格、採用されていたようです。

それが今では、採用希望者がどういった人間かをより詳しく綿密に審査するために、以前より面接回数を増やしたり、集団討論や集団面接、さらにはプレゼンテーションといった、民間採用試験のような人物審査方法を導入する自治体が通例となっています。

そして、筆記試験を行う1次選考で合格者を多めに出し、人物試験を行う2次選考で最終合格者を絞り込むという選考方法がどの自治体でも一般的になってきています。

また、採用試験の透明性と客観性の確保という観点から、面接・集団討論についても点数化する自治体が近年一般的となってきておりますが、各試験種目の配点を公表している自治体を見ても、2次の人物試験に係る配点比率が総合計点数の5割以上に及ぶ自治体が多くを占めています。

それどころか、最終合格者決定の際には1次の多肢選択式筆記試験の結果がリセットされる自治体も増えてきている状況です。

このように、合格得点順位順に採用していく地方公務員採用試験においては、依然として1次選考で実施される筆記試験が重要であることに変わりはありませんが、2次選考の面接・集団討論でしっかり評価されないと、最終合格は難しいと言えるでしょう。

国(府省庁)の現状

国家公務員試験配点一覧

地方自治体では人物試験をより重視する動きがある一方で、国家公務員総合職や国家公務員一般職の2次試験、いわゆる人事院面接は、配点比率を見ても(国家総合職:20.0%、国家一般職:22.2%(いずれも行政))現時点ではネガティブチェック(公務員としてふさわしくない人物を落とす)の位置づけです。最終合格するためには、まずは1次選考の筆記試験で十分に得点することが最優先事項です。

ただ皆様ご存じのとおり、最終合格すればほぼ全員採用される地方公務員試験とは異なり、国家公務員試験の多くは最終合格=採用ではありません。

国の多くの機関では中央人事行政機関である人事院が一括して採用試験を行っているため、人事院主催の公務員試験に最終合格しただけでは、あくまで「国家公務員になる資格」を得たに過ぎません

実際に志望官庁に「採用」されるためには、最終合格発表前から積極的に官庁訪問を行い、面接の場でアピールし、内々定を獲得しないといけないのです。(内々定の解禁は最終合格発表後)

そして、この採用面接は点数なんてものは無関係のまさに民間の採用面接みたいなもので、優秀な人材を採用したい官庁側も真剣勝負のガチガチの人物選考試験です。内々定を得るまでには4回も5回も面接を受けないといけないようなケースはザラです。

また、国家専門職のうち、国税専門官(配点比率は22.2%)や、労働基準監督官(2次では合否判定のみ)等については、官庁訪問のような制度はありませんが、職務の性質上、一般的に行政事務よりも対人能力や交渉力的なものがより一層要求される職種なので、従来から人物重視で採用されていることは間違いありません。

いずれの職種も、たとえ最終合格順位が低かったとしても、人物評価が高かった受験生は優先的に採用されるようです。

以上から、国家公務員試験では従来からある程度人物評価体制が整っていましたが、財政難に苦しむ現在、国も質の高い職員を採用するために今まで以上に人物選考に力を入れているようです。

人物試験対策の重要性

以上のとおり、国も自治体も職員採用選考において人物試験に大きなウェイトを置いているのが現状ですが、人物評価重視の傾向は、より幅広い人材に公務員として採用の可能性が広がったと言えるでしょう。

1次選考の筆記試験をボーダーラインギリギリで突破しても、2次選考以降の人物試験で大きく挽回、逆転することが可能になったからです。地方公務員はもちろん、国家公務員であっても、人物試験で高く評価され内々定のお声をもらえれば、最終合格することで例え順位が低かろうと採用されるのですから。

裏を返せば1次選考の筆記試験をいくら高得点で突破したとしても、2次選考以降の人物試験で評価されなければ不合格、不採用になり得るということです。

民間の景気が悪くない近年、公務員試験の採用倍率がひと昔前より落ち着きつつあり、特に地方自治体では1次試験で合格者を多めに出す傾向があるため、筆記試験の突破は以前ほど難しくなくなりました。それでも、多くの科目を満遍なく学習する必要がある公務員試験においては、独学であっても予備校生であっても、筆記試験対策にかなりの時間がかかるのが一般的です。

しかし現在の公務員試験は、対策に時間がかかる第1次試験を突破してからが、本当の戦いの始まりなのです。筆記試験合格は、あくまで第2次試験に進むためのパスポートを得たに過ぎないのです。

筆記試験で合格点を取る最低限の学力と、人物試験に合格する高い人間力を併せ持つ受験生のみが突破できるのが、現在の公務員試験です。

何か月もかけて膨大な科目郡を学習し、何とか筆記試験を突破したところで、面接・集団討論の結果で不合格になってしまっては、悔やんでも悔やみきれません。そうならないためにも、筆記試験対策と同様あるいはそれ以上に、人物試験対策もしっかり綿密に行う必要があります。

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