志望職種の試験内容をまずは把握
公務員試験を受けることを決意してから最初にすべきことは、自分が志望する公務員試験に出題される科目と、各科目の出題数、そして各試験種目の配点比率を知ることです。
何から手をつけるべきなのか、また何に比重を置いて学習すべきなのかを把握しないと、そもそも勉強を始めることができませんよね。
ほとんどの公務員試験受験生は併願受験を考えると思いますが、併願受験を見越した学習戦略を立てる上でも、このことは避けられません。
例えば国家一般職と地方上級を併願する場合、出題内容がほとんど重複する教養科目はもちろん、専門科目である憲法、民法、行政法等の法律系科目、ミクロ経済学、マクロ経済学等の経済系科目、政治学、行政学等の行政系科目といった重複科目は、どうしてもメイン科目として重点的に勉強する必要性が高くなります。
第1章の「超重要科目は数的処理2科目と経済学、民法」で説明しましたとおり、特に、国家一般職・地方上級併願受験の場合は、教養科目の数的処理、専門科目の経済学、民法といった主要科目は、最優先して学習すべきです。
これらを知っておくことは、スムーズに学習を始める為の最低限の準備です。
年によって出題内容や出題形式が変更される場合があるので、人事院や自治体のホームページ等で事前に必ず確認しておきましょう。
ウエイトの低い不得意科目は思い切って捨てる
さて、本サイトは半年から1年間という比較的短い期間で、公務員試験合格を目指す受験生を対象にしたサイトですが、常識的に考えて、出題される全科目を1年や半年程度のスパンで完璧に学習するのは不可能です。
そこで学習戦略の1番目は、公務員試験最短合格10の心得の二、「捨て科目を作るべし!」です。これは公務員試験受験対策において必要不可欠な考え方の一つです。
そもそも公務員試験は出題科目が多すぎるので、併願が利くかどうかや得意か不得意かなどを考慮して、時間対効果の低い科目は思い切って捨て去るのが得策です。
「捨てる」というのは「時間を割いて対策しない」ということです。対策していなくても本番で解ける場合もあるので、そのときはラッキーだと思って素直に正答しましょう。
例えば、範囲が膨大な割には出題数が少ない科目や、昔から細胞が拒否反応を示す程苦手な科目などは、得点にあまり影響しないと考えて、積極的に捨てる必要があります。
公務員試験勉強では、この捨てる勇気が非常に重要です。どれもこれも勉強しようなんて考えていたら、どれもこれも中途半端になります。何より、時間がいくらあっても足りません。
一方で、苦手であっても出題数が多い科目や、併願職種で重複する出題科目、また自分の得意科目といった、要するに主要科目や得点しやすい科目は、重点的に学習しなければなりません。
「捨てる勇気」を持ち、可能な限り学習の負担を減らすことが、合格への近道です。
必須解答である文章理解と数的処理は捨てられない
では、国家一般職・地方上級併願受験の場合、具体的にどの科目なら捨ててもよくて、どの科目なら捨ててはいけないのかについて、説明いたします。
まず、教養科目の一般知能分野である文章理解と数的処理(数的推理、 判断推理、資料解釈)は基本的に捨ててはいけません。
文章理解について補足すると、出題数の多い現代文と英語を捨てることはできません。得意であったとしてもまったく勉強しないのはすすめられません。
ただ、地方上級で1問しか出題されない古文は捨ててもよいでしょう。
自然科学と人文科学は得意か不得意かで判断
次に、一般知識分野についてですが、政治経済等の社会科学は専門試験対策と時事対策で代用できるとして、自然科学と人文科学については、得意不得意で判断です。
常識的に考えて、高校時代や大学受験時等に専攻していたかどうかが第一の判断基準となるでしょう。
例えば、人文科学でしっかりと得点できるのであれば、自然科学の5科目中3科目は捨てても問題ありません。
一方自然科学で得点できるのであれば、同様に人文科学の5科目中3科目までは捨てても影響が少ないといえます。
極端に言えば、人文科学と自然科学のいずれか一方で満点を取れるようであれば、もう片方を全部捨てても合格はできます。
要するに、人文科学と自然科学合わせて10科目中、半分ぐらい捨てることができるということです。
というか、これぐらい捨てなかったら絶対に時間が足りません。もちろん、合格するためには一般知能分野できちんと得点する必要はあります。
経済学と民法は捨ててはいけない
専門科目については、国家一般職と地方上級で重複する科目は捨てにくいところです。特に経済学と民法は絶対に捨てることはできませんし、法律系主要科目である憲法と行政法を捨てるという選択肢も無いでしょう。
法律系科目で捨てるとすれば、国家一般職では出題されない商法、刑法、労働法です。
地方上級の受験を考えればこの3科目のうち1科目ぐらいは勉強しておきたいところですが、商法は捨てること。
国税専門官試験を受験する場合であっても、たった2問しか出題されない商法は捨てても全く問題ありません。
政治学、行政学、社会学、国際関係等の行政系科目は迷うところですが、教養試験で出題される社会科学のことを考えれば、これらのうち3科目までは選択しておいた方が良いと言えます。
捨てる候補は、地方上級では重要度の低い社会学か、世界史を捨てる受験生は国際関係あたりですね。
経済系科目については、既に述べたようにミクロ経済学とマクロ経済学は必修科目で絶対勉強すべきであるとして、これらと重複箇所の多い財政学も選択したいところです。
一方経済事情や経済政策は、経済学の学習と時事対策で概ねカバーできるので、特別に勉強する必要はありません。
経営学は迷うところですが、余裕があるなら選択しましょう。
あと、会計学については、試験に7問必須で出題される国税専門官志望者は学習を避けることはできないでしょうが、国税専門官受験者以外は勉強する必要はありません。
時事は論文試験や人物試験にも絡む重要科目
また、絶対に勉強しておかないといけないのが時事です。時事は教養試験や専門試験のみならず、論文試験や人物試験に深く絡んでくる最重要科目です。
時事対策をやっているだけで教養試験の政治経済や社会、専門試験の国際関係や経済事情・経済政策の設問を解答できる場合があるので、時事対策は必ず別個でやっておく必要があります。
なお、国家一般職で出題される心理学や教育学といった科目は、他の試験種で出題されることもなく対策本も少ないのが現状なので、積極的に選択するほどの科目ではないでしょう。
「こんなに捨てて大丈夫!?」と不安に思われる受験生もいらっしゃるかもしれませんが、公務員試験は7割程度得点すれば合格できる試験です。
あれもこれも勉強して中途半端に終わるぐらいなら得意分野をしっかり固めて受験に臨むほうが圧倒的に合格率が上がるので、不要と判断した科目は迷わず捨てましょう。
何度も言うように、公務員試験は要領の良い者が勝ちます。 以下に、当サイトの独断と偏見に基づく科目の学習優先順位を記しますので、参考にしてください。